未来のアプリ「mi」
「デザインフィクション」という言葉を聞いたことがありますか?
いま世界でグイグイきてる学問の領域の名前です。
と言うと堅苦しいけど、内容は楽しげで、
“どんどん発達するテクノロジーは、人を不幸にも幸福にもできるから、未来のテクノロジーを予想して、それによってどんな幸せが描けるか前もって考えてデザインしておこう”
という、SF作家が提唱した学問だそう。
ようはドラえもんです。
「もしこんな技術があったら」の世界を、「こんなこといいなできたらいいな」と人を幸せにする方向でデザインするということですね。
この最先端の学問領域にかるく参加してみたい、ということで、「近未来の技術を搭載したアプリ」をデザインしてみました。
(という講義を大学で受けたので、その創作物をここにも載せます。ドミニク・チェン先生というその界隈の第一人者の講義です)
さて、今回紹介するまったく新しいアプリケーションはこちらです。(イノベーション感を出したいので、ジョブズのプレゼンをイメージして読んでほしい)
このアプリのどこがイノベーションなのか見ていきましょう。まずアプリを開くと
こんな感じで、Netflixみたいに映画や本やマンガ、音楽なんかまでまとめて表示されます。
Netflixよりイノベーションなのは、それらあらゆるコンテンツを「おもろみ」や「アガりみ」といった「〇〇み」でくくって表示することです。
医療の分野で、88%の精度で感情を検知できる「感情センサー」が開発されたとニュースになりましたが、(https://lite.blogos.com/article/251972)
このアプリはその近未来の技術を使って映画や本を見てる時、「なにみ」を感じているのか検知して記録します。
そして、多くの人が「おもろみ」を感じた作品を「おもろみ」グループに分類し、「切なみ」を感じさせた作品を「切なみ」グループに分類するわけです。
真にイノベーションなのはここからで、このアプリでいろんな作品を見ていくと、自分がどんな作品にどんな風に心をうごされたか、データがたまっていき、「マイページ」のタブに
こんなふうに、自分の好みを見える化してくれるのです。
こちらのブログ太郎さんは、「おもろみ」と「愛しみ」を強く感じることから、ラブコメが好きだとわかります
「良さみ履歴」からは、切ないラブストーリーも手に汗握るアクションムービーもひっくるめて、どんな感情でもとにかく「良さみ」が深かった作品を見ることができます。
そしてユーザーの好みを誰よりも学習したAIが、次なる良さみの深い作品をオススメしてくれるというわけです。
しかし、miがオススメしてくれるのは、映画や小説だけではありません。
「マッチング」のタブでは
こんなふうに、自分と感性の近い人が表示されてきます。
つまり、「自分の感性が顔になるマッチングアプリ」です。
ブログ太郎さんの場合、ジェシカさんが気があいそうなので、タップしてみます。
あとはこんなふうに会話していくと、左下の青いハートが、二人の会話による心拍の高鳴りや呼吸の変化=ドキドキを検知して徐々に赤くなっていきます。
ハートが赤くなると...
映画のペアチケットがプレゼントされます。
こうしてブログ太郎とジェシカはボヘミアン・ラプソディーを観に行くことができるわけですね。映画の後は感性のあう二人で感想を言いあって盛り上がり、食事に行き、数ヶ月後にはイノベーションしていることでしょう。
良さみがたまって好きピになったわけですね。
以上でプレゼンテーションを終わります。
どうですか?イノベイトできたでしょうか。
マッチングの他にも、感性の近いクリエイターの作品をフォローしたり、逆にまったく違う考えの人同士で話しあったり、いろんなことができそうですね。
インターネット上の有名な言葉に
というものがありますが、このアプリはまさにこのセリフを体現するシステムですね。
自分の感じた「〇〇み」がそのまま「me」になるアプリ、「mi」。
産業革命が肉体労働を肩代わりし、IT革命が頭脳労働を肩代わりしていく現代、個人の「志向性」がもっともっと価値を持つ時代になっていきます。
「エモい」「尊い」「卍」と言った言葉が流行する最近ですが、心の動きは自分そのものですから、もうすこし目を向けて、この架空のアプリのように言語化してみると、よき出会いが訪れるかもしれません。
あと、「ないアプリ」を考えるの楽しいのでオススメです。
おわり